道路よりも低い土地に駐車場を作る方法と費用感を解説
道路よりも低い土地は道下物件とも呼ばれ、市場価格が安い一方で、一般的な住宅用地よりも扱いにくい傾向があります。
駐車場を施工する場合には、造成工事やビルトインガレージ、架台車庫といった選択肢がありますが「費用が高額になるのでは」と不安に感じている人もいるでしょう。
この記事では、道路よりも低い土地に駐車場を作る方法について解説します。
それぞれの施工方法のメリット・デメリットや費用感も紹介しますので、高低差のある土地の活用を検討している方はぜひご覧ください。
道路よりも低い立地(道下物件)は安い分、扱いの難しさが課題
道路よりも低い立地とは、土地に接している道路に比べて地盤面の高さが低い土地のことで、「道下(みちした)物件」とも呼ばれます。
道路との高低差を造成工事などによって解消し、建物や駐車場を設けることで土地の有効利用が可能です。
道下物件の魅力は、一般的な地形の物件よりも値段が安い点です。
不動産市場では平坦な土地が好まれる傾向にあり、道下物件の人気はさほど高くないため、相場の7〜8割程度の価格で購入できるケースも見られます。
ただ、1階部分の日当たりを確保しにくい、高い位置を自動車が通過することで振動や騒音が出やすい、といったデメリットも考えられます。
また、下水本管への排水勾配を確保するために、ポンプアップなどの工夫が必要な場合もあります。
道路よりも低い土地は扱いが難しいという課題がありますが、上手に物件や活用方法を選ぶことで、デメリットを補うことが可能です。
傾斜地駐車場を施工する3つの方法
道路よりも低い立地に駐車場を施工する方法としては、主に以下3つが挙げられます。
- 造成工事で盛土をした上に駐車場を施工する
- 住宅の道路に面した階をビルトインガレージにする
- 架台車庫を施工する
高低差のある土地における駐車場施工では、傾斜角度や範囲に加えて、場所によっては法律規制も考慮する必要があります。
また、施工費用だけでなく、長期的な整備費用も踏まえて施工することも大切です。
次からは、上記3つの施工方法についてメリット・デメリット、目安費用などの特徴を詳しく解説していきます。
造成工事で盛土をする
道路よりも低い土地に駐車場を施工する方法として、造成工事で盛土をし、その上に駐車場を施工するやり方があります。
土地に土を盛り、道路と同じ高さの地表面を整えることで、通常の土地同様に駐車場を設置することが可能です。
盛土工事は、準備段階における測量や地盤調査の後、既存建物の解体やコンクリート、破材の撤去といった整地作業が行われます。
その後、土を運び込み、敷均と締固め作業で盛土を締め固めて安定した地盤に仕上げます。
盛土工事の工期は、土地の状態・天候などさまざまな要因が影響するため、数週間で完了することもあれば、数ヵ月に及ぶ場合もございます。
また、宅地造成等規制法により指定された区域での盛土工事には、都道府県知事等の許可を取得する必要があります。
※参考資料
昭和三十六年法律第百九十一号 宅地造成等規制法|e-Gov(イーガブ)
造成工事で盛土をするメリット
造成工事で盛土をすることで、道路との高低差が解消されるため、通常の土地のように活用できます。
また、盛土によって土地の資産価値が高まり、傾斜地の状態よりも高く売れる可能性があります。
土地が使いやすくなる
造成工事で盛土をすることにより、活用しやすい土地が完成します。
土地の高低差や形状を整えることで、目的に合った土地活用が可能です。
また、土地の区画変更や地盤強化もあわせて行うことで、元の状態よりも住宅や駐車場建設に適した土地に仕上がります。
売却時に買い手が見つかりやすくなる
高低差のある土地は盛土工事や切土工事によって、土地の利便性が上がります。
そのため、工事前の状態より売却時に買い手が見つかりやすくなります。
造成工事で盛土をするデメリット
造成工事による盛土には、地盤調査や自治体への許可申請などの手続きにより、時間やコストがかかるというデメリットがあります。
また、盛り土に付随して土止や水抜きといった工事を行った場合は、定期的なメンテナンスが必要です。
地盤調査や自治体への許可申請が必要になる
高低差のある土地で盛土を行う場合、地盤調査が必要となる場合があります。
農地から宅地への転用などでは住宅の重みに耐えられるよう地盤改良が必要です。
工事の規模により金額は異なりますが、地盤改良が不要なケースよりも数十万円以上の追加コストが発生します。
また、造成工事には自治体への許可申請が必要です。
急傾斜地崩壊危険区域に該当する土地は、崩落対策工事も必須とされています。
国や自治体の補助金制度により、費用の8割〜9割は支給される可能性が高いものの、出費が増えることには変わりありません。
整備の費用が高額になる
盛土で造成した土地自体にはメンテナンスは不要な場合が多いですが、盛土に付随する工事があった場合、定期的なメンテナンスが必要となる場合があり、整備費用が発生します。
具体的には、土留の経年劣化によるヒビ割れの防止や、雨水を抜く水抜き穴の修正などが挙げられます。
特に、雨水がうまく処理されないと、水圧によって盛土がダメージを受けるリスクもあるため、定期的な検査と修繕が必要となり、費用も比較的高額です。
造成工事で盛土をする際の費用相場
造成工事で盛土をする際の費用相場は、対象範囲や土地の状態によって大きく異なります。
単純な盛土工事だと1㎡あたり約7,000円以上ですが、地盤改良が必要な場合は約1万〜4万円ほど追加費用が発生します。
測量の費用目安は約35〜45万円で、測量士による確定測量になると約60万円以上かかります。
また、傾斜度が高いほど盛土工事の費用も上がる傾向があります。
住宅の道路に面した階をビルトインガレージにする
道路に面した階にビルトインガレージを設けることでも、道路より低い立地に駐車場を施工できます。
ビルトインガレージとは、住宅の内部に設置された自家用車やバイク用の駐車場のことです。
一般的なビルトインガレージは、RC造の高基礎でガレージスペースを構築し、シャッターを設置します。
シャッターには手動式や電動式、巻き上げ式などの種類があり、素材の種類も豊富です。
住宅の道路に面した階をビルトインガレージにするメリット
住宅の内部に駐車するビルトインガレージは、雨風の影響を抑えられるうえ、天候を気にせず車の乗り降りが可能です。
また、狭い土地であっても駐車スペースを確保できるため、外部に駐車場を借りる際のランニングコストの節約につながります。
雨風から車を守れる
道路より低い立地の住宅で、道路に面したビルトインガレージを設置することで、大切な車やバイクを雨風から守ることができます。
駐車場から家に入る動線を作れば、重い荷物を運ぶ際の負担を軽減できる上、天候を気にすることなく車の乗り降りが可能です。
シャッターを締めることで、盗難やいたずらといったリスクも避けられます。
狭い土地でも駐車スペースを確保できる
狭い土地であっても、ビルトインガレージにより駐車スペースを確保することが可能です。
そのため、近くの月極駐車場などを借りる必要がなくなり、費用節約につながります。
また、空調や水道といった設備を整えておけば、ガレージスペースがより快適になります。
車が停まっていない間は、子どもの遊び場や趣味のスペースとして活用することも可能です。
住宅の道路に面した階をビルトインガレージにするデメリット
ビルトインガレージを設置する分、居住空間はどうしても狭くなりやすいため、生活スペースを確保したうえで検討することが大切です。
また、建設費用だけでなく、電動シャッターや設備のメンテナンス費用も高額になる傾向があります。
生活空間が狭くなる
ビルトインガレージを造る分、生活空間が狭くなる可能性があります。
ビルトインガレージはドアやトランクの開け締めのスペースを考慮し、広めに設計をします。
特に狭小住宅の場合、ビルトインガレージが建物1階の大部分を占めるため、生活空間は狭くなるでしょう。
玄関や階段の位置など居住スペースの設計プランを熟考する必要があります。
また、ガレージの開口部が広い分、建物の強度を補強する対策も重要です。
整備の費用が高額になる
ビルトインガレージは建築費用が高額なだけでなく、定期的なメンテナンスによる整備費用も発生するため、コストの負担が大きくなる可能性があります。
また、ガレージシャッターの形式や素材などによっても費用は変わり、手動式よりも電動式の方が高額です。
住宅の道路に面した階をビルトインガレージにするの費用相場
住宅の道路に面した階にビルトインガレージを作る費用相場は、坪約50万〜80万円です。
車1台分の駐車スペースは4〜5坪程度なため、工事に約200万〜400万円かかります。
ただ、軽自動車か大型自動車か、車椅子を使うかどうか、といった条件によっても必要な広さは異なります。
また、内装や設備、シャッターやドアの種類といったこだわりも費用を左右します。
架台車庫を施工する
道路より低い土地では、架台車庫を施工して駐車場を設ける方法も有用です。
架台(がだい)車庫は、道路と同じ高さになるよう架台と呼ばれる土台を造り、車庫を築造する方法です。
一般的な架台車庫は、車の重量に耐えうる鉄骨で骨組みを造り、その上に通常の駐車スペース同様のコンクリート駐車場を造ります。
玄関を2階または3階に設ける設計にして、駐車場とスムーズにつなげる方法が主流です。
崖などの傾斜地でも、架台車庫の駐車場を設けることで、眺望の良さを活かした住宅を建設できます。
架台車庫を施工するメリット
狭い敷地で駐車スペースを造りたい場合には架台車庫が向いています。
架台車庫を施工するメリットとしては、道路と敷地の間に段差があっても駐車場を設置できる点や、車庫の下のスペースを物置などで有効活用しやすい点が挙げられます。
道路と敷地の間に段差があっても設置できる
架台車庫によって道路と敷地の段差を解消することが可能です。
道路より低い土地では、敷地の間に段差があるため、そのままでは駐車場は設置できませんが、鉄骨架台を使うことで道路と同じ高さに駐車スペースを確保できます。
鉄骨架台を用いた車庫があれば、道下物件でも高く売却できる可能性が高まります。
車庫の下を物置として利用できる
架台車庫の下の部分を物置などで有効活用できる点も、架台車庫のメリットです。
鉄骨架台の上に車を置けるほどの強度があり、雨風も防げるため、下の空いたスペースをタイヤや備品などを保管する物置として活用できます。
架台車庫を施工するデメリット
道路よりも低い土地で架台車庫を施工する場合、駐車場側は採光がなくなるため、家の中の日当たりが悪くなる可能性があります。
また、駐車場よりも居住スペースが下がった特殊な形であり、住宅の美観を損なうことも考えられます。
住宅に日が当たりにくくなる場合がある
道下物件の住宅に架台車庫を施工する場合、駐車場側の採光が少なくなるため、方角によっては家の中の日当たりが悪くなる可能性があります。
架台車庫よりも下のフロアには、道路側からの光は入らないとなると、日照量が限られます。
隣の家との兼ね合いやセキュリティ対策、建物自体の強度なども考慮したうえで、できる限り採光を確保できるよう工夫する必要があります。
美観を損なう場合がある
道路よりも低い土地に架台車庫を設置した場合、車庫よりも低い位置に住宅があるため、住宅の美観を損なう可能性も否めません。
特に、既存の住宅に追加する形で架台車庫を設ける場合は、住宅とのバランスが重要です。
一般的な住宅のような設計デザインが難しく、違和感を感じやすい形状ではありますが、設計次第ではスタイリッシュな仕上がりも可能ですので、実績豊富な建築士や施工業者に相談しましょう。
傾斜地駐車場を作るためには専門業者の力が必要不可欠!
道路より低い土地は相場より安い分、住宅建設における課題も多く、扱いにくい傾向があります。
傾斜地駐車場を設ける方法はいくつかの選択肢がありますが、造成工事は手続きに時間がかかる場合がありますし、
ビルトインガレージ・架台車庫は建物の外観・機能面に大きく影響します。
また、架台車庫の施工は、骨組みの鉄骨架台について理解があり、実績豊富なプロの業者に依頼することが大切です。
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