セミクローズ外構のメリット・デメリットは? オープン外構との違いも
新築やリフォームを検討中にセミクローズ外構という言葉を知り、どんな外構なのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
外構とは家の敷地を囲う構造物のことで、家の見た目はもちろん、開放感や防犯性、安全性などにも影響してきます。
セミクローズ外構は各家の特徴やニーズに柔軟に対応できるものなので、メリットやデメリットを確認し、外構選びの参考にしてみてください。
セミクローズ外構はプライバシーとデザイン性を両立した優良外構
セミクローズ外構には厳密な定義はありませんが、基本的には部分的にクローズ外構とオープン外構を取り入れたものと言えます。
それぞれの良いとこ取りをしたものとも言えるでしょう。
クローズ外構、オープン外構、セミクローズ外構のメリット・デメリットを整理すると次の通りです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
オープン外構 | 開放感があり死角もできにくい | 外から中の様子が見えやすい |
クローズ外構 | 外から中の様子が見えにくい | 開放感がなく死角もできやすい |
セミクローズ外構 | 隠す部分と見晴らしを良くする部分を作れる | 部分的に中が見えやすかったり死角ができやすかったりする |
セミクローズ外構ならデザイン性とプライバシーとを両立できるため、最近ではセミクローズ外構を選ぶ人が増えています。
セミクローズ外構の3つのメリット
メリット①適度な開放感がある
セミクローズ外構では、塀やフェンスを設置する場所・しない場所の両方を取り入れ、低めの塀・フェンスで程良く目隠しをする部分も作れます。
まったく囲いを作らないわけでも、完全に敷地を囲うわけでもないため適度な開放感があるのです。
門周りのようにセキュリティを重視したい部分はしっかり囲いつつ、それ以外をあけておくことで家の敷地内から外の様子が見えやすくなり、外部とのつながりも感じられます。
メリット②隠したいところは隠せる
セミクローズ外構では、隠したい部分はしっかり隠すことができます。
たとえば洗濯物を干すベランダ周りやお風呂の窓付近などは、クローズ外構にしておいたほうが安心です。
一方で、防犯のためには敷地内に侵入者が隠れる死角を作らないことも重要です。
セミクローズ外構なら、こうした隠す・開放的にするといった相反する防犯対策も両立できるので、子どもや女性のいる家などにも選ばれやすくなっています。
メリット③家を適度に装飾できる
セミクローズ外構なら、デザイン性のある塀やフェンスを設置することで家を適度に装飾することも可能です。
装飾的な塀・フェンスはコストがかかりがちです。
しかし、セミクローズ外構なら敷地全体を囲むわけではないため、次の理由から資材費・工事費を抑えられます。
- 塀やフェンスが少なくて済む
- 一部の工事で済む
コストが低い分、こだわりのデザインを選ぶこともできるでしょう。
セミクローズ外構を取り入れる3つのポイント
セミクローズ外構には「こうしなければいけない」という決まりはありません。
どのような外構にするか、希望に合わせて柔軟に決められるのも、セミクローズ外構の醍醐味です。
しかし、自由だからこそどうしたらいいかわからないという場合もあるでしょう。
そこで、自分たちの好みやニーズ、家族構成に合ったぴったりなセミクローズ外構を選ぶポイントを紹介していきます。
1. 玄関正面に門柱やフェンスを取り付ける
玄関を開けてすぐ人目に触れることに抵抗がある場合は、玄関正面に門柱やフェンスを立てることがおすすめです。
そうすることで程良くプライバシーが保たれ、次のようなことを防げます。
- 玄関を開けた時に外から家の中が見える
- 他の家族が先に玄関を開けてしまい、靴を履く途中の姿が外に見える
- 身だしなみできていない状態で家族を見送る姿が外に見える
また、車道に接している家なら子供が玄関から道路に勢いよく飛び出すことも防げるので、安全面も向上します。
セミクローズ外構の場合は、柱型ではなく、壁型の門柱(門袖ともいう)が使用されるケースが多いです。適度に玄関周りの目隠しをすることができるためです。壁型門柱(門袖)には沢山の仕上げ方法があります。表面にタイルを貼ったり、塗り壁にしたり、建物との統一性を持たせることでおしゃれになります。家全体の印象を左右する箇所ですので、機能面のみならず、デザインにもこだわることをおすすめします。
2. 細格子でさりげなく目隠し
目隠しをしつつも明るさや開放感は確保したい、おしゃれでありながら家自体のデザインの邪魔にならないものがいい、という場合は細格子がおすすめです。
たとえば木の細格子を使うと、和モダンで自然かつさりげなく目隠しができます。
完全に目隠しするわけではないため、不審者が隠れる死角にもならず安心です。
おしゃれで程よい目隠しという点では、すりガラスも人気です。
細格子と同じく圧迫感がないので家のデザインを邪魔せず、明るさも確保できます。
3. カーポートを目隠しにする
カーポートを目隠しとして活用することもおすすめです。
車が停まっているときは目隠しができますし、車がないときは広々とした開放感を楽しむことができます。
車を雨風から守ることもできるので、一石二鳥です。
より目隠しの効果を高めたい場合は、カーポートにサイドパネルを入れてみてはいかがでしょうか。
サイドパネルは後付けもできるので、ひとまずカーポートだけ設置してみて、目隠し効果が足りないと思った時に追加しても良いですね。
クローズ外構のメリット
少し前の日本の家では、周囲を塀や生垣で囲ったクローズ外構が主流でした。
クローズ外構のメリットは次の通りです。
- プライバシーが保てる
- 子どもが外に飛び出しにくい
- 家が立派に見える
セミクローズ外構でも、部分的にクローズ外構を取り入れます。
特徴や効果を理解することで効果的にクローズ外構を取り入れられるので、まずはメリットを詳しく確認していきます。
クローズ外構のメリット①プライバシーが保てる
クローズ外構のメリットの1つは、プライバシーが保てることです。
高めの塀や生垣でしっかり目隠しをするので、たとえば庭やベランダに洗濯物を干しても見えにくいのです。
ガーデニングをする際にも、外からの視線を気にすることなく作業に集中できます。
また、窓のカーテンを全開にしても外から家の中が丸見えにならずに済みます。
人通りの多い時間帯や夜でも気軽にカーテンを開けて生活できるのは魅力ですね。
クローズ外構のメリット②子どもが外に飛び出しにくい
敷地に囲いがなくどこからでも敷地外に出られるオープン外構とは違い、クローズ外構では門からでないと敷地外に出られません。
そのため、小さな子どもが玄関を出た勢いでそのまま道路に飛び出すことを防げます。
庭でボール遊びをする場合も、高くボールを投げない限り敷地外に出ることはありません。
ボールを取りに道路へ出て車や自転車と衝突するといった危険性も下がるので、安心して子どもを庭で遊ばせられます。
クローズ外構のメリット③家が立派に見える
クローズ外構なら、実際の家の大きさに関わらず家が立派に見え、住む人の満足度を上げてくれます。
敷地を囲うものがないオープン外構は広々として見える一方で、殺風景に見えたり家全体の印象がぼやけたりすることがあります。
しかし、塀やフェンスで敷地を囲うと家全体に統一感が生まれて引き締まって見えますし、門柱や門扉があることで家に重厚感が出て立派に見せることができます。
クローズ外構のデメリット
クローズ外構にもデメリットはあります。
セミクローズ外構でクローズ外構のデメリットをカバーするためにも、どのような問題点があるのか見ていきましょう。
クローズ外構のデメリット①侵入者が潜める死角が多い
クローズ外構では塀やフェンスで侵入者を防ぐことができますが、いったん侵入されてしまうと死角が多く見つけにくくなります。
実際、死角が多い家は空き巣が入りやすいと言われています。
外からの視線を気にしなくていい分、窓を割る、鍵を解除するなど大胆な手口・時間のかかる手口を使いやすくなるのです。
外出時・帰宅時に敷地内の物陰に侵入者がいないか気になり、ストレスを感じる可能性もあります。
クローズ外構のデメリット②閉鎖的な印象になる
あまりしっかり家を囲ってしまうと、閉鎖的で圧迫感のある印象になってしまいます。
とくにそれほど敷地が広くない場合は、囲いを作ることで狭さが強調されるおそれがあるのです。
また、圧迫感は家の住人である家族だけでなく、隣人も感じる可能性があります。
高い塀で家を囲うことで周囲の家と雰囲気がなじまなかったり、日当たりを遮ったりしてしまうことがあるため注意が必要です。
オープン外構のメリット
クローズ外構のデメリットを解消するために人気となったのが、オープン外構です。
塀やフェンスなどで敷地を囲わないオープン外構には、クローズ外構にはないメリットがあります。
セミクローズ外構を採用する場合は、オープン外構の良さが活きる部分を見極めることが重要です。
以下のようなオープン外構のメリットを詳しく確認していきましょう。
- 死角が少ない
- 開放感がある
オープン外構のメリット①死角が少ない
オープン外構には塀やフェンスがないため、死角が少なくなります。
オープン外構の家に侵入しようとすれば通りすがりの人に目撃されてしまいますし、家に侵入するタイミングをうかがう隠れ場所もないので、空き巣に狙われにくくなると言われています。
庭全景が見える状態だとなお効果的でしょう。
さらに防犯性を高めるのであれば、玄関前に砂利を敷き詰めたり、防犯カメラを取り付けたりすることがおすすめです。
オープン外構のメリット②開放感がある
オープン外構は敷地と外部を区切るものがないため、家の中から見ても外から見ても開放感があります。
日当たりも良くなるため、日が入りにくい北側の家で採用されることも多いです。
また、狭い敷地でも視界が開けることで広く見える効果もあります。
外部とそのままつながっている印象が強くなるので、庭仕事中に近くを通った近所の人と話すなどコミュニケーションも取りやすくなります。
オープン外構のデメリット
開放的で明るく、防犯にも良いオープン外構ですが、デメリットもあります。
オープン外構の家を建てて不満を感じている人もいるので、事前にデメリットを確認しておきましょう。
オープン外構のデメリット①人目が気になる
オープン外構のデメリットとしては、人目が気になるということが挙げられます。
視界を遮るものがない分、外から庭がよく見え、カーテンの隙間から家の中まで見えてしまうこともあります。
見晴らしを良くすることで侵入者は防げますが、のぞきのリスクはクローズ外構より高まってしまいます。
玄関を開けてすぐに人目に触れることが気になる人もいるので、通行人が多い場所には不向きと言えるでしょう。
オープン外構のデメリット②外構がシンプルになる
オープン外構では敷地と外部とを仕切るものがないか、あっても低い塀や生垣となるため、外構がシンプルです。
門柱や高い塀など立体的な構造物が少ない分、デザイン性に乏しく物足りない印象になってしまう可能性もあります。
そのため、装飾で家に高級感を持たせたい場合には不向きと言えます。
ただし、外から庭がよく見えるので、植栽で装飾すると華やかな印象になるでしょう。
セミクローズ外構の特徴を知って上手に取り入れよう
クローズ外構・オープン外構にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
防犯性や家の広さ、家族構成などを踏まえて両者を効果的に取り入れることが、自宅にぴったりなセミクローズ外構を作るコツです。
実際に外構が完成し、住み始めてから「ここはこうすれば良かった」などと気づくケースもあります。
外構の失敗を防ぐために、さまざまな外構を担当してきた専門業者に相談することもおすすめです。
敷地が広い家は境界線を全て囲むクローズ外構だと膨大な費用がかかってしまうことがあります。例えば18m四方の約100坪の敷地で、道路側以外の3辺にブロック積み+目隠しフェンスを設置すると、それだけで100万程度かかります。敷地が広い家ほどメリハリをつけたセミクローズ外構の検討をオススメします。